大不平等 : エレファントカーブが予測する未来
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BREXIT、トランプ現象などの原因を、如実に示した一枚の図がある。『ワシントンポスト』紙が「現代政治のロゼッタ・ストーン」と評したエレファントカーブだ。 横軸の100に位置するのがグローバルに見た超富裕層、0に位置するのが最貧困層。縦軸はベルリンの壁崩壊からリーマンショックの間に各層がどのくらい所得を増やしたかを示している。50-60番目の人たち(中国などのグローバル中間層=A)は所得を大きく伸ばし、80-90番目の人たち(先進国の中間層=B)の所得は停滞し、90番目以上の超リッチ(グローバル超富裕層=C)の所得はこれまた大きく伸びていることがわかる。
本書は、このグラフの発表者が、新たな理論「クズネッツ波形」で、今世紀の世界的不平等の行方と経済情勢を予測した基本書だ。
目次
はじめに
1 グローバル中間層の台頭とグローバル超富裕層
グローバリゼーションで誰が得をしたのか/グローバルな所得分布に沿って見た所得の絶対増加/金融危機の影響/世界の上位1パーセント層/真のグローバル超富裕層──億万長者たち
2 各国内の不平等
クズネッツ波形を導入して不平等の長期的な流れを説明する/クズネッツ仮説への不満の原点/クズネッツ波形——定義/平均所得が停滞している社会の不平等/前工業化社会で不平等を縮小するものは何か/前工業化社会で不平等を拡大するものは何か/平均所得が安定して増加する社会の不平等/クズネッツ波形(合衆国とイギリス、スペインとイタリア、ドイツとオランダ、ブラジルとチリ、日本)/クズネッツ波形の論理/クズネッツ波形の第一の波を下降させたものは何だったのか/各国内の不平等と第一次世界大戦/大平準化時代の悪性の力と良性の力/クズネッツ波形の第二の波を上昇させているものは何か。この波が下降するとすれば、それは何によるのか/上昇部分をどう説明するか/不平等の拡大を相殺する力
3 各国間の不平等
カール・マルクスからフランツ・ファノン、そして再びマルクスへ?/グローバルな不平等の水準と構成の変化/1820年から2011年までのグローバルな不平等/グローバルな不平等における「場所」vs.「階級」/市民権プレミアム/市民権プレミアムと移民/コースの定理とグローバリゼーション時代の法の支配/グローバルな機会の不平等/移民と壁/移民と国境開放への抵抗感をどう調整するか
4 今世紀および来世紀のグローバルな不平等
この章を読むに当たっての注意/主要な力の概説——経済の収束とクズネッツ波形/所得の収束——貧しい国々は豊かな国々より速く成長していくのか/収束はアジアの現象なのか/方程式のもう一辺——中国と合衆国の不平等/クズネッツ氏、北京へ行く?/合衆国——不平等の「パーフェクト・ストーム」/不平等という禍——金権政治とポピュリズム/中間層の没落/金権政治/ポピュリズムと移民排斥主義
5 次はどうなるのか
将来の所得不平等とグローバリゼーションについての10の短い考察/今世紀のグローバルな不平等を形成するのはどのような力か/豊かな国々の中間層はどうなるか/どうすれば豊かな福祉国家の不平等は縮小するのか/これからも勝者総取りがルールなのか/水平的不平等だけに焦点を当てるのはなぜ間違いなのか/労働はこれからもほかとは違う生産要素であり続けるのか/それでも経済成長は大切か/不平等への関心は経済学から消え去るのか/なぜ方法論的ナショナリズムは意味を失いつつあるのか/グローバリゼーションが続くことで不平等は消滅するか
謝辞/索引/原注/参考文献
2017/7/16
大不平等、実は2017に書評チェックしていたとは
不平等可能性フロンティア
トピックスについて
不平等可能性フロンティア
「クズネッツ曲線」「クズネッツ仮説」
不平等の測度 タイル尺度、ジニ係数
Amartya Sen「不平等の経済学」東洋経済新報社
p31-56 第二章.不平等の測度
p43-45 タイルのエントロピー測度
上記で扱われている測度は、相対平均偏差、分散と変動係数、対数標準偏差、ジニ係数と相対平均格差、タイルのエントロピー測度、ドールトンの測度、アトキンソンの測度など。
1973
不平等についての原点(原典)らしい
数式だらけらしいので意味がわかるか怪しいけど
ちゃんと理解しようとするとマクロ経済学、ミクロ経済学、それと数学が必要そう
移民
国家間の不平等を理解するには財と商品(サービス含む)の移動だけでなく、労働力(つまり人間)の移動も考えないとダメ、ということらしい
「では、なぜ、その2つを区別するのか?」的なことが書かれていた
グローバリゼーションとは財、商品(サービス含む)だけじゃなくて人も国境をまたぐ、ということ
人間の移動には倫理的な問題が含まれる
移民と奴隷の関係は、交易と略奪の関係と等価かもしれない